なんでやねん日記

なんでやねんです

過去よりも高く翔ぶために

2017年のファンクラブイベントで、久しぶりに5人揃ったももいろクローバーZを見た。

知らない曲があったり、やたらMCが安定していたり、しばらく会っていなかった分の変化はたしかに感じたけれど、結局最終的に湧き上がったのは、いつ見てもこの5人は変わらないなあ、という気持ちで、とても安心していた。聴くたびに泣いてしまうニッポン万歳!の東北ももかパートは、なんだかいつも以上に涙が止まらなかった。

ふと、ももいろクローバーZは、これからどうなるんだろうと考えた夜があった。同時期に活躍していたアイドルたちは、解散したり、卒業したり、グループを残しつつ人員を入れ替えたりしている。ももいろクローバーZは、その特性がゆえメンバーの入れ替えはない。嵐やSMAPのようなグループになりたいと言っていたこともあったけど、今の時代、女性がその立ち位置を目指すにはどうしたらいいんだろう。熱心に会場に足を運ばなくなって2年が経っていたのに、ふとそんなおせっかいな思考を巡らせていた。

有安杏果が卒業を発表したのは、そんなことを考えた次の日のことだった。最後のライブは1週間後。突然すぎて、いろいろな感情が浮かんだり沈んだりする中、ただ情報を追うことしかできなかった。ネットの配信やテレビの生出演を見て、いろんな人たちと練られたであろう言葉を繰り返す姿に少しの寂しさを感じた。つらさもあった。でもまったく本人の意向を無視した言葉にも思えなかったから、納得もあった。不毛な議論は、当時のことが脳裏に浮かんで悲しみつつも、なんだか温かみを感じた。

ライブのチケットは当然のごとく外れた。残念だけど、ホッとした部分もあった。いつでも、「今」を応援しているファンがいるからアイドルが存在しているわけで、有安杏果が卒業してももいろクローバーZの形が変わろうとしているという状況で、ひょっこり会場に入るのはなんだか気後れしたからだ。チケットの譲渡ツイートに何百というリプライが寄せられている様子を眺めながら、そんなことを思っていた。

でもやっぱり、たくさんのものを与えて、助けてくれて、支えてくれてグループと、メンバーの最後と最初を見届けたくて、LVのチケットは押さえて、現場に向かった。

メンバーはLV会場にも挨拶にきてくれて、偶然にもわたしがいた席のすぐ近くに来てくれた。久しぶりに近くで見る5人の姿。ふわふわとしたやりとりもあったけど、しっかりと現実を受け入れて進んでいく決意を感じるような凛とした立ち姿だった。

ライブ中は最初から最後までずーっと泣いていた。周りからすすり泣く声が聞こえ続けた。でも、その涙の対象である人、あんなに泣き虫だったももかは、今日は涙を堪えて、ずっとまっすぐ前を見据えていた。その姿に、ああ、本当に有安杏果はここからいなくなるんだな、とようやく実感を持てた。

私はももかのことを何にも知らないし、分かってもいない。真面目で、不器用で、頑固で、優しくて、周りから一歩引いていて。そんな印象も勝手に抱いているだけで、大間違いなのかもしれない。ただ、卒業を発表したときに悲しいながらも妙な納得感を感じたのは、それがとても有安杏果らしいと思ったからだ。

今まで活動してきたことが、彼女の「普通」の足を引っ張ることも多かれ少なかれあるだろう。それでも、ただただ彼女の願いが叶えられることを、少しでも彼女の片鱗に触れた人間として思う。

そして、今はまだ逆境こそがチャンスだぜ、なんてとてもいえないけれど、まっすぐな彼女の意思に戸惑いながら応えた百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人の願いも叶いますように。

有安杏果さん、8年間、お疲れ様でした。