なんでやねん日記

なんでやねんです

2015年面白かったマンガ

早いもので今年もあとわずか(ほんとにわずか)。2年やったので、じゃあまあ今年もやるかということで、2015年に面白かったマンガを並べます。例年同様、最新刊が2015年に出たものや、気になってたけど今年ようやく読んだマンガとかです。例年同様(再)、ランク付けというものがとても苦手なので、面白かった順などではなく、自分なりのカテゴライズでざっくばらんに並んでいます。感想というほどの立派な感想はありませんので要注意。(見出しは敬称略)

一昨年、昨年の記事はこちら。


昨年もそうだったのですが、今年はさらにKindleでマンガを買うケースが増えました。そういう人ますます増えていそう。というわけで、Amazonリンクは紙版(上)とあればKindle版(下)と、両方置いておきます。

【じんわり】

★弟の夫/田亀源五郎

2人で暮らしていた父・弥一と小学生の娘・夏菜のもとに、父の双子の弟の結婚相手がやってくるところから物語が始まります。その結婚相手は、カナダからやってきた男性・マイク。まさに「弟の夫」。

2015年はLGBTに関する話題を至るところで耳にしましたが、理解して“普通のこと”として考えるべきだとわかっていても、周りにそういった方がいない私にとっては、「よくわからない」というのが正直な思いでした(恥ずかしながら)。無知ゆえにマイクと素直に向き合う夏菜の言動はそんな私にとって、代弁者というか、私たちもこうあるべきなんだろうなあと感じました。

田亀さんの作品に触れるのはこれが初めてだったのですが、ものすごく好みでした。年明けに2巻も出るようで、楽しみです。

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★帰ってきたサチコさん/朔ユキ蔵

「別れ」や「再会」について描かれた、5作からなる短編集。どれもちょっと不思議なお話ばかりなのですが、スッとそれぞれの作品の世界観に引きこまれます。表題作の「帰ってきたサチコさん」ももちろんよいのだけれど、個人的には「心ここにあらざれば」と「劇的」がよかったです。

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★落語心中/雲田はるこ

とにかく八雲と助六編が好きすぎるので、今巻も満足でした。ヨタちゃんのあったかい心は、ほんといろんな人を包み込むね……。しかし、老いて臆病になった師匠色っぽいよぉォォォ可愛いよォォォォ。1月から始まるアニメも見るぞ!

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★バイナリ畑でつかまえて/山田胡瓜

ITmediaで連載しているときからすごく好きで、更新を毎回楽しみにしていました。単行本は電子版のみということで、迷うことなくポチリ。切ないお話があったり、くすっと笑いあったり。単行本でもう一度読み返すと、ああああこの世界観好きすぎる……と改めて気付かされたのでした。一番好きな話は「そして誰かいなくなった」。チャンピオンで連載中の「AIの遺電子」も面白い!

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★たそがれたかこ/入江喜和

昨年に続き、今年もじんわりさせていただきました……。拒食症になってしまった娘の一花。弱ってしまった一花を支えて、優しく自分と向きあわせてあげることは、かつてのたかこさんを元気づけて、今のたかこさんに勇気を与えることなんだなあと最新刊を読んで思いました。誰かを思うことは、とても素敵なこと。

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★お父さんチビがいなくなりました/西炯子

気づいたら、涙がはらはらとこぼれていました。中年夫婦の不器用な愛に泣かされるとは……。西せんせいだから描ける話だと思いました。本当によかった。しかし、お母さんの気持ちが分かりすぎてお父さんにまったく同情できなかったのは、やっぱり女だからなのだろうか……。あと後輩くんはストーカー気質すぎて若干ホラーだった。

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【ハラハラ】

★僕だけがいない街/三部けい

今年出た6巻と7巻でついに物語が動いた! しかも新章に突入した!AIRIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIィィィ!!!!!!!!!!!!!!心臓に悪い!でもページをめくる手が止まらない!!引き続き楽しみな作品のひとつです。

★ぼくは麻理のなか/押見修造

7巻!7巻!!7巻!!!が最高だった!!!!押見せんせいの心理描写力が発揮されまくり!!!!!依さんが愛おしすぎる……。次巻も早く読みたくなる終わり方で、気になりすぎる。

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★ハピネス/押見修造

続いても押見せんせいの作品。平々凡々な男子学生の日常が、とあるきっかけで壊れていく話。正直、1巻は入り込みきれなかったんですが、2巻でやられました。暗い話が好きな方におすすめです。続きが早く読みたい(こればっかり)。

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★いぬやしき/奥浩哉

正直、今までは惰性で読んでいるところがあったんですが、最新5巻がすごくよかった。というか獅子神編が好みなんだと思う。すごく悲しくなった。救いってなんなんだろうか。バンバン人がお亡くなりになる話なので、そういうものが苦手な人にはおすすめしません……。

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★アイアムアヒーロー/花沢健吾

なんかレビュー荒れてるけど、私は18巻好きでした。ほんとに英雄はダメだしダッサダサだな!!ってところを含めて。どこか「最終兵器彼女」を思い出させました。

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★累/松浦だるま

あたらしい「かさね」が誕生した7巻。とにかく野菊が愛おしすぎる何なんだこの感情は……! この作品に登場する人、みんな救いがなくてつらすぎるんだけど、それが魅力なので困る。しかし「かさね」の演技シーンはどんどんよくなっていくなあ。

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★WHITE NOTE PAD/ヤマシタトモコ

実は、ヤマシタトモコさんの作品はあまり好きではなく、どちらかと言えば苦手で……。でも書店で表紙をみたとき、イラストの雰囲気と装丁がめちゃくちゃ好みで、後日ポチっとしたのでした。基本は「お前が俺で俺がお前で」な、よくある入れ替わりの話。でも、この作品の軸は、入れ替わってかららと入れ替わる前の人格を巻き込んだ“変化”。設定も心理描写も表現も何もかもが巧くて、自分にドンピシャにハマった作品でした。読み終わったあとにもう一度表紙を見て「タイトル、なるほど」と思いました。2巻も楽しみ。


【わくわく】


★僕のヒーローアカデミア/堀越耕平

文句無しに面白い!これが王道ジャンプ!!でも底抜けに明るくて爽快なだけじゃなくて「闇」な部分もしっかり描かれているのが好みなところ。色んな所で評価されているのが納得な作品。

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★暗殺教室/松井優征

めちゃくちゃ盛り上がった「茅野……まさか……!」からの、殺せんせーの過去編の流れがもうすごすぎた。完敗、完敗です。3年E組のみんなももうすぐ卒業なんだなあ……。

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★背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜/横田卓馬

まさか競技ダンスのマンガが誕生するとは!しかもそれがめちゃくちゃおもしろいとは!先輩'sの突き抜けたかっこよさ、暖かさと、新入生'sの愛らしさのバランスがとてもよい。読後感がとってもよい1冊です。誰にでもおすすめできる。

★ちはやふる/末次由紀

毎年おすすめしてるんだけど、今年も。ほんとちはやふるには毎回泣かされる……。団体戦、しかも北央VS瑞沢。熱くないわけがない。ヒョロ君に泣かされるとは思いもしませんでした。

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★波よ聞いてくれ/沙村広明

今年すごい推されてた作品のひとつではないでしょうか。ご多分に漏れず、私も面白いと思いました。ラジオ好きにはたまらない。まだ1巻だけなので、2巻の展開も楽しみです。どうカテゴリわけしようか迷ったんですが、この作品に共通する躍動感に名前をつけるならワクワクかなと思った。

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★ちひろさん/安田弘之

毎巻、毎巻、ほんとうに胸にしみる作品です。最新の4巻も、ちひろさんは相変わらずひょうひょうとしていて、黒いところもあって、すごく魅力的で。そんな中で、彼女の過去が少しだけ垣間見えた巻でした。そして私はバジ姉が好きだ!

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【キュン死】

★恋は雨上がりのように/眉月じゅん

今年のベストオブ胸キュン賞です。おじさん最高。女子高生最高。好きなものと好きなものが絡まって好き!!!!しか詰まってない作品です。普段クールなのに、好きな店長(おじさん)のことになると照れながらもとてもまっすぐ、熱くなるあきらちゃんがたまらない。全体通してすごくキラキラ感がある作品だと思います。

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★逃げるは恥だが役に立つ/海野つなみ

ずっとKindleの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に出続けていて、観念して「1巻だけ、1巻だけだから」と誓い買ったらドハマりしました。その日のうちに既刊全部買って読破したのは言うまでもありません……。私の趣味嗜好、そんなに分かりやすいのか……!Amazonさまは何でもお見通しなのか……!大人の女性向けのマンガなのに、少女マンガのような胸キュン要素満載です。

★こいいじ/志村貴子

子供の頃からずーっと恋している幼なじみに、フラれてフラれてフラれ続けて、それでも諦められない女性の、恋の「意地」を描いた作品。ストーリーもだけど、主人公の「まめ」ちゃんの体型がめちゃくちゃ好み。ふっくらしていて柔らかくて気持ちよさそう……。志村せんせいの絵は、思わず触りたくなるやわらかさがあるよなあ。


★魔法使いの嫁/ヤマザキコレ

昨年のブームは一旦落ち着いた? 感じがする本作ですが、相変わらず!!胸をキュンキュンさせてくれやがります。チセとエリアスの関係が、少しずつ変わって、本当にゆっくりだけど近づいていて、その様子を眺める(読む)だけで、もう心が暖かくなるのです……。

★乙嫁語り/森薫

最新の8巻も、やっぱり一番好きなアミルが出てきて最高だったんだけど、声を大にしていいたいのは、7巻のお風呂回が神すぎるということ!!!!!!!なんですかこれ!なんですかこれ!!紙とペンでここまでできるのですか!森せんせい天才過ぎやしませんか!!!!アニスの線が繊細で、こういう表現もできる人なんだなあと魅了されっぱなしでした。

乙嫁語り 7巻 (ビームコミックス)

乙嫁語り 7巻 (ビームコミックス)

  • 作者:森 薫
  • KADOKAWA/エンターブレイン
Amazon


★繋がる個体/山本中学

購読している「Dモーニング」で、今年イチオシだった作品。かわいくてモテまくってるここみが、合コンで出会った真面目なサラリーマン・井口の気を引きたくてあれこれ試行錯誤してる姿が胸きゅんでした。ただ、第2章もここみは変わらずかわいいし、話も面白いんだけど、第1章がずば抜けてよすぎて、蛇足にしか見えなかったのが残念。

【ほのぼの】

★よつばと!/あずまきよひこ

待ちわびていた新刊!何年たっても、よつばと!を読み終えたあとの「ああああ読み終わっちゃったああああもっと読みたいいいい」感は変わらない。ばーちゃんがすごい好きだった。さらっととーちゃんの名前出てて笑った。

よつばと! (13) (電撃コミックス)

よつばと! (13) (電撃コミックス)

Amazon

★3月のライオン/羽海野チカ

前巻はほんと“ヒリヒリ”という感じだったけど、今巻は比較的落ち着いた気持ちで読めた。みんながんばったね。桐山くんと、川本家の3姉妹、4人が幸せになりますようにと切に願いました。

★日常/あらゐけいいち

ついに最終巻!最終巻も、相変わらずのシュールっぷりで、でもちょいちょい「将来」に触れてる部分もあって、大満足な巻でした。日常はほんとうに楽しいマンガだったなー。アニメもまたやってほしいなー。そして女子高生はかせかわいい!かわいすぎるぞ!!女子高生はかせでスピンオフやってくれ!!!


★ママレード・ボーイ little/吉住渉

あの名作少女マンガ「ママレード・ボーイ」の続編。ママレード・ボーイの登場人物(遊や光希、銀太などなど)も大人になって登場するので、旧来のファンが楽しめるのはもちろんなんだけど、ちゃんと本筋のストーリーも面白い。もはや中学生同士の恋愛にキュン死はせず(していたらやばい)、ほのぼのと読めるマンガです。しかし電子版の発売が遅すぎるのがツラい。4巻、紙はとっくに出てるのに電子版が出てないのでまだ読めてなくて悔しい……。

【女】

★おんなのいえ/鳥飼茜

いわゆるアラサーの恋愛モノマンガ。それだけだと何だか安っぽく見えちゃう昨今だけど、鳥飼せんせいが描くと魅力たっぷりになる。正反対な姉妹と、2人の恋愛の“違い”が面白い。うだうだしている姉・有香の描写が、人によっては鬱陶しく感じるかもしれないけど、私は好きです。


★先生の白い嘘/鳥飼茜

つづいても鳥飼せんせいの作品(だって好きなんですもの!)表紙を見ただけで胸糞悪くなる男、それが早藤。こんな人間を描けていることがすごい。ムカムカするけど、読むと負けてられるかと変に強気になる。女って、男って、ほんとうに何なんだろうな。

★颯爽な家政婦さん/小池田マヤ
大好きな家政婦さんシリーズの新刊。版元が変わって、表紙の装丁が変わったのが残念。デザインもだけど、特に気になったのが紙。


★親なるもの断崖/曾根富美子

まさか、Webのバナーからここまでのヒット作が生まれると思わなかった。しかも、めっちゃ昔の作品なのに。そして、バナーが気になりすぎてまんまと購入したひとりが私です!!!!もっと下世話なものだと思っていたけれど、そんなことを思っていた自分が恥ずかしくなるくらい、素晴らしい内容でした。春を売る世界でしか生きれなかった、そこで踏ん張った女性の儚さと強さがすごい。重いけど、読んで後悔はしない作品です。

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★鼻下長紳士回顧録/安野モヨコ

20世紀初頭のパリを舞台に、“変態”を相手にする娼館の女性を描いた作品。安野せんせいの娼婦は本当に美しいし、艷やかだし、もう芸術だなあ。目が幸せ。もっと作品読みたいけど、難しいんだろうなあ……。

★蝶のみちゆき/高浜寛

一方こちらは、長崎丸山の花魁の物語。絶世の遊女・几帳と、オランダ人の医者の「愛と死」の話。ものすごく完成度が高い。こんなマンガを読ませていただいて……と贅沢な気持ちになった。映画を見ているような錯覚に陥る、完璧な世界観、絵、ストーリーでした。

【サブカル】

★吉祥寺だけが住みたい街ですか?/マキヒロチ

今年、あんまりサブカルっぽいマンガ読まなかった気がする。というわけで唯一の1冊。サブカルにまとめていいのかどうかすら怪しいが。表紙といいタイトルといい「お、おう……」って感じだったけど、舐めてました。東京の街についていろいろ知れるので、東京の人はもちろん、東京に住みたい人のガイド的な本になりそう。物件好きな人にはたまりません。

【文学的】

★有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。/ドリヤス工場

だいたい10ページくらいで、有名な文学作品の概要を楽しめます(しかも水木しげるせんせいタッチで)。原作も好きな「たけくらべ」と「舞姫」がよかった。学校の図書館に置きたい。


★プリンセスメゾン/池辺葵

低年収ながらも、いつか自分がほんとうに心地よくすごせる“家”に巡りあうため、いろんなモデルルームや物件を探す沼越さん。彼女の家に対する真摯な思いと、彼女に優しく寄り添う不動産メーカーとの関係性がすてき。わたしも今一番ほしいものが「家」なのでハマりました。家購入に関する豆知識も役に立つ。

テーマ的に「文学?」という感じがするけど、池辺せんせいの作品の“間”は文学そのものだと思う。


★逢沢りく/ほしよりこ

発売は昨年末だったけど、引っ越したりなんだりで買ったまま積ん読してて、ようやく最近読みました。「いい」のは読む前から分かりきってたことだけど、読むともっともっと「いい」と感じましたた。りくの家族、特に母親のリアリティがすごかった。淡々と描かれる作風だからこそ、身にしみるものがある。

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★あれよ星屑/山田参助

戦後の東京で、物もお金も家もなくて、しんどいことばかりの中でもまっすぐ生き抜く人たちの日々の話。「戦争」の話はたくさん読んできたけど、「戦争」が終わったあとの人々の生活をここまで描いている作品に触れるのは、初めてかもしれない。「戦争はだめなことだよ」と諭すようなことはないからこそ、読むたび戦争というものについて深く考えされられる。

4巻は、梅乃さんの話が切なくて切なくて。まっすぐ、正しく、生きているつもりなのに、なんでこうなっちゃうんだろうなあって。後半は、めちゃくちゃ明るい人たちがたくさん登場して、ちょっと救われました。


というわけで、2016年もマンガ読むぞ。

結婚式

 

大事な友人がまたひとり、結婚式を挙げた。

 
結婚式はなんて素敵な宴なのだろうと、出席するたびに思う。一緒に学んだ、一緒に遊んだ、一緒にお酒を飲んだ、一緒に笑った素敵な女性たちが、繊細で美しいドレスを身に纏いさらに輝く。きらびやかな着物で凛と佇む。今まで見たことのない(今まで以上の)愛らしさで笑顔を向けてくれる。ほろりと涙をこぼす。その姿を見るだけでとても幸せになる。この人の大事なだいじな門出の席にわたしは招かれている。それだけで、誇らしい気持ちになる。
 
あのころのわたしでは思いもしなかった場所に、今のわたしがいる。環境も考え方も周りにいる人たちも、ずいぶん変わった。でも彼女たちは会うたびわたしに対して「変わらないね」と言ってくれる。その一言がどれだけうれしいことか。あなたも変わらないね。卒業して、働いて、結婚して、子供を産んで、年を1つずつ重ねても、みんないつまで経ってもあのころと変わらない、素敵な女性のまま。
 
結婚式で訪れた街は、かつて縁あって何度もなんども足を運んだことがある場所だった。いつも並んだバス停、あのころできたファッションビル、お気に入りの美術館、いつも曇天の空。街に落ちているいろんな欠片を拾いながら、あれから今までの出来事を思い返した。いろんな記臆が色を失っていて、何もかもがあのころと違う。またこれから、大きな変化がわたしにやってくる。それでも、この街が大好きだという気持ちは、きっと変わらないのだろうなと思った。
 
思い出がいっぱいあるこの街で、大事な友人のとびきりの笑顔を見れて、とてもうれしかった。願わくば、彼女がこれからも笑顔で過ごせますように。そして、わたしたちがずっと友達でいられますように。
 

梅仕事2015

6月。近所のスーパーに並ぶ青梅を見るたび「今年はどうしよう」と悩んだ。

おととし、初めて自分で梅酒を漬けた。焼酎やホワイトリカーは苦手なので、梅酒専用の日本酒で。甘いお酒も苦手なので氷砂糖は気持ち少なめに。半年たったころからひとつきに1回、味見のために飲みはじめた。最初は酸っぱくて若い味がしたけれども、10ヶ月たったころにはとろんと甘く、いい香りの梅酒ができた。たくさんの人に振る舞ったこともあり、1年がたつころにはほとんど空になった。

昨年は引っ越しや何やかんやがあり、梅が出回るころはそれどころではなかった。そして今年の6月。

梅酒作りは楽しかったし、出来上がったものもとても美味しかったけれども、やはり私は甘いお酒が好きではない。十分に飲める味になるまで時間がかかるのも、せっかちな性格にあっていない。悩んでいるうちに、スーパーに並ぶ梅は青梅から、黄色く完熟した梅に移り変わっていった。

「今年は梅干しを漬けようかな」。そう思い母に電話すると「ちょうど昨日、お父さんが完熟梅を拾ってきたの」と言う。これはもう、漬けるしかない。少しだけ分けてほしいとお願いし、電話を切ってすぐ保存容器をWeb通販で購入した。

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届いた箱を開けると、芳醇で甘い香りが部屋中に広がった。

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流水で洗い汚れをとったあと、ひとつひとつ丁寧に水気を拭き取る。ついでにつまようじでヘタもとる。

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熱湯で消毒した保存容器に塩と梅を交互に入れて重石をする。瓶の口が狭かったので、二重にしたビニール袋に水を入れて重石代わりにしたけれど、水気は大敵なのでヒヤヒヤした。

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3〜4日で梅酢があがったので重石を取る。なめてみると塩辛い。けれど梅の豊かな風味もしっかりする。このまま7月末ごろまで漬けてから、3日間天日干しをする。白干し梅が好きなので紫蘇漬けにはせず、そのまま食べるつもりだ。完成まであと少し。

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